環境影響評価制度に係る相模原市環境審議会からの答申について
本日、相模原市環境審議会から市長に対し、「相模原市における環境影響評価制度」につい て答申がありました。
環境影響評価制度については、環境共生都市の実現を目指して、本市独自の環境影響評価 制度を構築するため、平成24年10月29日に同審議会に対し、「本市の地域特性を考慮し た環境影響評価制度の在り方」について検討するよう諮問したものです。
1 答申の日時及び出席者
(1)日 時:平成26年1月28日(火)午後2時から午後2時30分まで
(2)出席者:・相模原市環境審議会
会長 亀山 章氏(東京農工大学名誉教授)
副会長 北村 陽子氏(さがみはら環境活動ネットワーク) 委員 (環境影響評価制度検討部会部会長)
片谷 教孝氏(桜美林大学リベラルアーツ学群教授) ・本市
小星副市長、環境経済局長、環境共生部長
2 検討経過
平成24年10月29日 相模原市環境審議会に対し、「本市の地域特性を考慮した環境 影響評価制度の在り方」について諮問を行い、同審議会の下部 組織として、審議会委員6名で構成する環境影響評価制度検討 部会を設置
平成24年11月22日~平成26年1月22日 ・環境審議会における検討 2回
・検討部会における検討 10回
3 答申の概要
別紙のとおりです。
4 今後の予定
答申を踏まえて、(仮称)相模原市環境影響評価条例(案)の骨子を取りまとめた後、パブ リックコメント等を実施し、平成26年6月の市議会定例会議に条例案を提案する予定で す。
平 成 2 6 年 1 月 2 8 日 相 模 原 市 発 表 資 料
担 当 環 境 政 策 課
電 話 042-769-8240(直 通)
相模原市環境審議会委員名簿
委員名 所属・役職 備考
1 亀山 章 東京農工大学 名誉教授 会長 2 片谷 教孝 桜美林大学リベラルアーツ学群 教授
3 木村 純二 青山学院大学理工学部 教授 4 桑原 勇進 上智大学法学部 教授
5 下村 彰男 東京大学大学院農学生命科学研究科 教授 6 友岡 史仁 日本大学法学部 教授
7 松本 安生 神奈川大学人間科学部 教授 8 森 武昭 神奈川工科大学 副学長・教授 9 遠藤 治 麻布大学生命・環境科学部 准教授 10 大澤 啓志 日本大学生物資源科学部 准教授 11 辻野 泰子 化学物質アドバイザー
12 北村 陽子 さがみはら環境活動ネットワーク 副会長 13 岡田 絢子 相模原市消費者団体連絡会 副代表
14 小山 眞 相模原市立小中学校PTA連絡協議会 15 坂本 重光 津久井郡森林組合 専務理事
16 座間 進 相模原商工会議所 専務理事
17 金子 匡甫 相模原市自治会連合会 副会長 H25.6.7まで 平林 清 相模原市自治会連合会 副会長 H25.6.8から 18 福田 昭三 (特非)かながわ環境カウンセラー協議会 理事
19 春日 裕之 相模原の環境をよくする会 会長 H25.4.25まで 和田 篤 相模原の環境をよくする会 会長 H25.4.26から 20
城間 盛孝 環境省関東地方環境事務所 環境対策課長 H25.3.31まで 平野 寛人 環境省関東地方環境事務所 環境対策課長 H25.4.1から 21 鈴木 芳明 公募市民
22 先﨑 武 公募市民 23 西田 和子 公募市民
環境影響評価制度検討部会委員名簿
委員名 所属・役職 備考
1 片谷 教孝 桜美林大学リベラルアーツ学群 教授 部会長
2 木村 純二 青山学院大学理工学部 教授 部会長職務代理 3 桑原 勇進 上智大学法学部 教授
4 下村 彰男 東京大学大学院農学生命科学研究科 教授 5 友岡 史仁 日本大学法学部 教授
6 大澤 啓志 日本大学生物資源科学部 准教授
環境影響評価制度に係る答申の概要
1.制度導入の必要性
環境影響評価制度は、環境に著しい影響を及ぼすおそれのある事業について、事業の実施 前に環境への影響を評価し、その結果を公表し、住民、事業者及び行政が意見を出し合い、 環境保全について適正な配慮がなされるようにするための制度で、現在のところ、国におい て環境影響評価法が制定されているほか、全都道府県及び15政令指定都市が条例を制定し ている。
相模原市は、津久井地域との合併により、広大な森林や湖をはじめとする水源地域や里山 など、多様な環境特性を有する一方で、首都圏南西部における広域的な交流拠点都市として のポテンシャルが高まっており、今後、大規模な公共事業や開発事業が一層進展することが 予想される。
このため、産業経済の発展や市民生活の維持・向上と、豊かな自然環境の保全との調和を 図るための手法の確立が急務であり、市の地域特性を踏まえた環境影響評価制度を構築する 必要がある。
2.検討の視点
制度検討に当たっては、以下の視点を考慮した。
(1)神奈川県環境影響評価条例の適用除外を受けた自立的制度の構築
政令指定都市への移行に伴う都市計画や道路などの権限移譲と同様に、環境分野におい ても自立的な制度運用を図る必要がある(既に横浜市及び川崎市が県条例の適用除外とな っている。)。
*県条例の適用除外を受けるためには、市の制度が県条例の趣旨に即したものであり、 かつ、県条例と同等以上の効果があるものと県から認められる必要がある。
(2)市が事業者に対し直接意見を提出できる手続の制度化
市域内で完結する環境影響評価法の対象事業について、神奈川県知事を経由せず、事業 者に直接意見を提出できる都市として国の指定を受ける必要があり、これに見合うだけの 制度及び体制を構築する必要がある(既に15政令指定都市が指定を受けている。)。
(3)住民への情報提供及び住民意見提出の機会の充実
環境影響評価に係る手続において、事業者への影響を考慮しつつ、住民への情報提供や 意見提出の機会の充実を図る必要がある。
(4)地域ごとの特性を活かした環境配慮制度の構築
市の地域特性に合致した地域区分や対象事業、規模要件を設定する必要がある。
(5)市長意見の形成における専門的な知見の強化
事業者に対する市長意見の形成において、透明性及び公平性を確保するとともに、専門 的知見に基づく意見形成ができる体制を構築する必要がある。
別 紙
3.制度の特色
(1)対象事業
道路や鉄道、工場・事業場、土地区画整理など30事業を対象とすべきである。
* 環境影響評価法においては14事業、県条例においては28事業が対象とされてい るが、市の地域特性や実状を踏まえ、独自に「大規模商業施設」及び「大規模物流施 設」を追加するとともに、県条例における「発生土処分場の建設」の範囲を拡大し、
「土砂等の埋立て等」として埋立てや盛土などの行為も対象とすべきである。
(2)地域区分と規模要件
県条例における地域区分及び規模要件を踏まえつつ、市の地域特性を考慮し、次のよう に設定するのが適当である。
地域区分 地域区分の考え方 対象地域 規模要件
A地域
豊 か な 自 然 環 境 を 保 全 す る た め 事 業 実 施 に 当 た り 特 に 環 境 配 慮を要する地域
国定公園、県立自然公園、 近郊緑地保全区域など
* 県条例の甲地域及び乙 地域に該当。
【市域の40%】
県 条 例 の 甲 地域 の 規 模要 件 と同等とする。
B地域
集 落 や 農 地 と 自 然 環 境が共存しており、事 業 実 施 に 当 た り 一 定 の 環 境 配 慮 を 要 す る 地域
非 線 引 き 都 市 計 画 区 域(用 途地域を除く。)、都市計画 区域外
(A 地 域 に 含 ま れ る 地 域 を 除く。)
* 県条例のその他の地域 からの市独自設定。
【市域の34%】
県条例のその他の地域の 規 模 要 件 の 75 % 程 度と す る。
C地域
事 業 実 施 に 当 た り 標 準 的 な 環 境 配 慮 を 要 する地域
A地域及びB地域以外
* 県条例のその他の地域 からの市独自設定。
【市域の26%】
県 条 例 の そ の他 の 地 域と 同 等 と す る が 、市 独 自 の対 象 事 業 で あ る 大規 模 物 流施 設 に つ い て は 、工 業 地 域、 工 業 専 用 地 域 につ い て 別の 規 模要件を設定する。
(3)評価項目
大気環境や水環境、動植物など、環境影響評価法や県条例における評価項目とほぼ同等 の15種の評価項目を設定するほか、市独自のものとして、「大規模商業施設」及び「大 規模物流施設」を対象事業に追加すること等にあわせ、「光害」を評価項目に追加すべき である。
(4)評価手続
ア 計画段階における「配慮書」手続の設定
県条例で規定する方法書、準備書、評価書及び事後調査報告書の各手続に加え、計画 段階における配慮書手続を設定する必要がある(民間事業者については努力義務とし、 市が事業者となる場合は全て本手続の対象とすべきである。)。
イ インターネットによる図書の公表
縦覧する図書については、幅広く住民に周知するための手段の一つとしてインターネ ットによる公表を行う必要がある。
ウ 手続期間の短縮
市長意見の作成期間について、配慮書は2か月以内、方法書は3か月以内、準備書は 4か月以内とするが、実際の運用に当たっては速やかな審査を行い、可能な限り手続期 間の短縮に努める必要がある。
(5)審査体制
科学的かつ専門的知見に基づき、中立な立場からの審査を可能とするため、附属機関と して(仮称)相模原市環境影響評価審査会(専門知識を有する学識経験者15~20名で構 成)を設置する必要がある。
【参考】地域区分
都市計画区域外 都市計画区域外